あさか由香 8時間働けばふつうに暮らせる社会へ

Asaka Magazine

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対談・インタビュー

2016.5.25

ときめき対談 ゲスト 資生堂・アンフィニ非正規切り争議・原告 池田 和代さん 同争議支援共闘会議・女性の会代表 伍 淑子さん

ゲスト
資生堂・アンフィニ非正規切り争議・原告 池田 和代さん
同争議支援共闘会議・女性の会代表 伍 淑子さん
日本共産党神奈川県雇用・子育て相談室長 あさか由香さん

あなたたちは悪くないと言われ 池田
労働組合は強くてやさしい あさか
誇り傷つけられて、怒り広がる 伍

現場に足運ぶ大切さ
女性の働き方や非正規雇用

資生堂・アンフィニ非正規切り争議で原告の池田和代さんたちが全面勝利和解を勝ち取りました(1月25日)。支援共闘会議・女性の会代表の伍淑子さんは、争議を支えました。日本共産党神奈川県雇用・子育て相談室長の、あさか由香さんと池田さん、伍さんが語り合いました。(新かながわ社)

あさか こんにちは。今日はよろしくお願いします。
池田・伍 よろしくお願いします。
池田 あさかさんのプロフィールを見ました。ゼロ歳と3歳の子どもがいるんですよね。
あさか 先日、上の子が4歳になりました。下の子が1歳になります。
池田 ゼロ歳は手がかかりますよね。
あさか ええ、夫と協力しながら育てています。まわりの人たちにも支えてもらっているんですよ。元保育士の方など18人くらいがボランティア登録をして助けに来てくれています。
池田 え~すごいですね。そういう支えがないと活動はできないですよね。
 子育てには、苦しさもあるけれど、楽しいことも山ほどあります。それを男性に味わってもらうことは、命の大事さを実感する上でも大切です。
あさか そうですね。子育ては自分の思い通りにいかないことの連続です。そこから学ぶことも多いですね。
池田・伍 そうですね。

解雇・雇い止め撤回に反響

あさか あらためて、資生堂・アンフィニ争議の全面勝利和解、おめでとうございます。解雇・雇い止めを撤回させたことに全国から反響が寄せられているそうですね。
池田 ありがとうございます。「やったね」「苦労が報われましたね」など、反響はたくさんあります。和解までの6年8カ月、全国を歩き、口紅の作り方を説明して、誇りを持って働いていたことを話しました。
 今回の争議は、労働組合だけでなく、普通の女性たちが応援したことも特徴でした。池田さんたちの誇りを傷つけたことへの怒りが広がりました。こうした広がりを資生堂も感じたのではないでしょうか。
あさか そうですね。
 資生堂本社のある東京・銀座での宣伝では、銀座という土地柄を考えた宣伝方法を工夫してやってきました。資生堂はダメだという訴えだけでなく、こんなことを許していいのですかという問いかけに共感してもらえたと思います。
池田 私たちは「どんどん化粧品を買ってください。そうすれば私たちは工場に戻れる」と訴えたんです。
あさか へぇ~、そうだったんですか。
 それから全労連(全国労働組合総連合)・全国一般労組が、全国の販売店に要請行動をしました。化粧品売り場ですから女性を中心に行いました。資生堂が工場を展開しているベトナム、タイ、イタリア、フランスなどの大使館にも要請したんですよ。
池田 畑野君枝さん(現日本共産党衆院議員)、衆院議員の高橋千鶴子さん、参院議員の田村智子さんが鎌倉工場を視察(10年10月)したことも大きかったです。
あさか やっぱり、国会議員が現場に行って調査をするのは大切なんですね。
 現場を見るのはすごく大事です。話を聞くだけじゃ分かりませんから。

一生懸命働いたのに

あさか 池田さんは、資生堂の工場でどのように働いていたんですか。
池田 とにかく仕事を優先しました。仕事をこなさないと次の契約がなくなるからです。有名人がコマーシャルに出て、口紅が年間100万本も売れたときは、2交代制になりました。残業を含め11・75時間働いたこともありましたね。資生堂は品質管理が厳しいので、朝は30分から1時間早く出勤し、タダで働きました。
あさか そんなに一生懸命働いたのに、減産通告を理由に突然、解雇されたんですね。
池田 そうです。派遣・請負会社アンフィニの担当者はまず、労働契約期間を1年間(09年1月~12月)から2カ月(同年4月~5月)に短縮しました。でも、契約期間の短縮には何の説明もなく、始業時間を8時15分から30分に変更したので新しい労働条件通知書にサインするよう求めたのです。
 09年5月の契約期間満了で切るために労働契約を変更する。これは詐欺的なやり方ですよ。
池田 女性22人に解雇通知書を渡される日の朝、私も含め口紅生産ラインのリーダーがアンフィニの担当者に呼び出されました。「解雇された人は泣くのでフォローしてください」と言うのです。私は、生産ラインの終了5分前に呼び出され、解雇通知書を渡されました。出勤率が低いということでしたが、何回聞いても人選基準を明らかにしてもらえませんでした。裁判でも同じでした。
あさか その後、どのようにして会社とたたかうことになったんですか。
池田 解雇通知書を渡された瞬間、泣いて、泣いて…。家に帰っても自分のことを責めました。インターネットで神奈川労連(神奈川県労働組合総連合)の労働相談センターを見つけ、事務局長の澤田幸子さんと伍さんに会いました。
あさか 会ってどうでしたか。
池田 3時間くらい話をして、「あなたたちは悪くない」と言われ、会社の問題だと初めて分かったんです。すぐにみんなを集めて、会社と交渉できるのは労働組合だけと全労連・全国一般の人に説明してもらい、十数人で組合を結成しました。アンフィニが団体交渉に応じたとき、組合の力は大きいと思いました。資生堂にも実態調査を申し入れましたが、関係ないと言われました。
あさか 労働組合の人たちは、知識もあり、強くて優しいですよね。
池田 そうですね。労働組合のことを何も知らない私たちを支えてくださいました。本当にうれしかったです。

支援者の心を集める活動

あさか 池田さんがたたかってきつかったこと、支えになったことはなんですか。
池田 争議をたたかうには、財政を確立しないといけません。いろんな集会で訴えて、品物を買ってもらいました。みなさん、すすんで支援してくれました。志位(和夫)委員長もタオルマフラーを買って応援してくれました(笑い)。
あさか 私も政策を話して財政的にも応援してほしいと呼びかけているので、よく分かります(笑い)。共産党は政党助成金も企業団体献金も受け取らず、党費とカンパ、「しんぶん赤旗」などの事業収入で賄っています。カンパや「しんぶん赤旗」購読など、心を込めて支援してくれる人たちが山ほどいる。それが私の支えになっています。お金を集めることは、支援者の心を集める活動ですね。
池田 本当にそうですね。

働く人が共感できる訴えを

あさか 池田さんたちと同じように非正規切りに遭う方は多いと思います。
池田 ええ、理不尽な理由で解雇されるのは許せないです。すべての人が正社員になれる社会をつくっていかないといけませんね。私は、このたたかいのなかで企業の社会的責任を学びました。それは、労働者の家族と生活を守ることです。
あさか 池田さんの話を聞いて、長時間労働を規制し、正社員が当たり前の社会をつくっていくことが大事だとあらためて思いました。さらに、働く人に共感してもらえる訴えをしていかないといけないと思います。
池田 そうですね。私の下の子どもはシステムエンジニアなんですが、職場に働くルールがありません。帰ってくるのは深夜0時。「組合を作った方が良い」と、こちらがいくら言っても、「会社のためだ」と言うんです。でも、会社は働く人たちのことを全然考えていない。働き方がおかしいと若者に知らせないといけませんね。
あさか ええ。先日、スペインのことを調べている大学名誉教授が、スペインでは女性の95%、男性の93%が残業を1年間で一度もしたことがないと言っていました。そういうことが日本でも可能だと訴えていきたい。それから、現場が声をあげて立ち上がらなければ実態は明らかにならないし、声をあげた人がいるから変えていけるということも伝えていきたいです。

普通に暮らせる賃金

 以前、職業講話で、どんな仕事でも大事だと中学生や高校生に話してきました。今は、労働がどういう意味を持つのか、学校であまり学べていないように思うんです。
あさか 今の話を聞いて、海外に行っていた友人と話したことを思い出しました。フランスでは、みんなが労働者にリスペクト(尊敬)の気持ちを持っている。だから、例えば水道が夜や休日に壊れたときでも修理する人たちの休みを奪っちゃいけない、直すのは明日でも良いと考えられるんです。
伍 労働者への権利に対する意識が違いますね。これから、一人一人が働き方を考えていくことがますます大事です。労働者が人間として生きていける制度を作っていく責任が私たちにありますね。
あさか ええ。介護労働者が朝から夜まで働いても手取り月収14万円にしかならない、これでは結婚できないと街頭で訴えてきました。でも、それだけでなく、介護労働者がどんな思いでどんな仕事をしているのか、その労働の価値はこれだけしかないのかという問いかけが大事だと気づかせてもらいました。
池田 友達がアメリカに行ったとき、フランス人、イタリア人に、どれくらいの休暇をとっているかと尋ねたら、1カ月とか20日間と答えたそうです。あなたたちはと聞かれ、3泊4日と答えると、時間貧乏だねと言われたんです。
あさか 海外の人から日本人はもっと今を楽しみなよと言われますよね。私も日本にいるスリランカ人に日本人は貧しいと言われました。
 外国に行ったり、外国の人と接した人は、日本が貧しいと分かりますが、多くの人は分かっていません。あさかさんには、日本が遅れた国だということを発信してもらいたいです。
あさか はい。どんな仕事でも8時間働けば普通に暮らしていけるだけの賃金を保障する。これは政治が最低限やるべきことです。女性も男性も、育児も家事も大切にできる社会をつくっていきたいとあらためて感じました。
池田 ぜひ、あさかさんには国会でそういう政治を実現してほしいです。
あさか 分かりました。今日は、ありがとうございました。
池田・伍 ありがとうございました。

池田和代(いけだ・かずよ)さん=1956年生まれ。全労連・全国一般神奈川地本資生堂・アンフィニ分会長。8年5カ月、資生堂鎌倉工場で働くも契約途中で解雇。東京都労働委員会で勝利和解。

伍淑子(ご・よしこ)さん=1942年生まれ。資生堂・アンフィニ争議支援共闘会議・女性の会代表。元国公労連副委員長。退職後は日本婦人団体連合会副会長として活動。

あさか由香(浅賀・ゆか)さん=1980年生まれ。システムエンジニアとして勤務後、国際輸送業に関わる。民主青年同盟でお仕事実態調査に取り組む。正社員が当たり前の若者が希望のもてる働き方をめざす。

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